春~秋、夕暮れ時になると空を忙しなく飛び回っている黒い影を見る人は多いでしょう。
これはコウモリ(アブラコウモリ)で、哺乳類の中で唯一自力で飛ぶ力を持つ動物です。
この記事ではコウモリの飛び方や体の仕組み、行動パターンなど身近に居るけれどあまり知られていない、そんなコウモリのことを紹介します。
コウモリの飛び方は?
コウモリは鳥と違って様々な方向へ器用に方向転換しながら飛び回っています。
この項では、そんなコウモリの飛び方について紹介します。
コウモリの飛び方の特徴
コウモリは哺乳類の中で唯一、自力で飛ぶことができる動物です。
モモンガやムササビといった動物もいますが、これらは「高い場所から滑空(ゆっくり落ちる)」しながら移動しています。
しかしコウモリは羽(前足)をいっぱいに広げ空気の流れを作り、その空気の流れに乗ることでヒラヒラと舞うように、鳥とはまた違う飛び方をします。
コウモリの飛ぶ高さ
日本でよく見られているコウモリ(アブラコウモリ)は、地上10m~20mほどの高さを飛び回っています。
アブラコウモリほどの数ではありませんが、ヒナコウモリやヤマコウモリといった種類も存在しており、この2種類のコウモリは地上50m以上の高さを飛ぶことが知られています。
コウモリが飛ぶ仕組み
コウモリの羽と見られる部分には「被膜」と呼ばれるものがついており、この被膜を使って空気の流れを作り空を飛ぶ力にしています。
また、羽と見られる部分これは動物でいうところの「前足」に該当します。
前足と言われるだけあり、コウモリの骨格を見ると羽になっている部分は大きな手のような形になっていて、指と指の間に伸縮する被膜がついています。
コウモリの飛ぶ動画
この項では、実際にコウモリが飛ぶ姿を動画で確認してみましょう。
コウモリは地面から飛べない?
コウモリは鳥のように地面から飛び立つことは基本的にはできません。
それは鳥とは違い、後ろ足の筋力が極端に弱いことにあります。
コウモリの後ろ足は歩いたり、飛び跳ねるどころか立つことすらできません。
なので、一度地面に降りる(落ちる)と、飛ぶことができる高さまで登る必要があります。
コウモリの生態
コウモリは身近な動物でありながら、意外とその生態は謎だったりと不思議な部分が多いものです。
この項では、そんなコウモリの生態について紹介します。
コウモリとは
コウモリは空を「自力で飛ぶ」ことができる唯一の哺乳類です。
ムササビやモモンガも空を飛びますが、あれはどちらかと言えばゆっくり落ちているというのが正しく、高いところから「滑空」しながら移動しています。
対して、コウモリはその大きな羽(前足)で風を捕まえることで、鳥と同じように空を飛ぶことができます。
また、夕暮れ時などによく見かけるコウモリは「アブラコウモリ」という種類になり、食性は蚊や蛾、ハエなど昆虫を主食としており、家屋の屋根裏、排気口など人の家に住み付くことから「イエコウモリ」とも呼ばれています。
ほかにもコウモリは夜行性で、目はほとんど見えていません。
それでも正確に虫などの対象を捕捉できるのは、とても正確なレーダーを備えており「反響定位」によって自身と障害物や捕食対象の位置と距離を正確に測っています。
ちなみにコウモリの反響定位は、戦闘機に使用されているレーダーよりも正確と言われています。
コウモリの体のつくり
コウモリの羽は、前足が空を飛ぶために進化した形になり骨格を見てみると大きな「手」であることがわかります。
また、羽の骨と骨の間には「被膜」と呼ばれる伸縮する膜が翼の役割しており、コウモリ特有の不規則な飛び方も被膜を細かく調整することで可能としています。
コウモリの後ろ足は極端に弱く、歩くことや飛び跳ねるどころか立つことすらできません。
ぶら下がっているイメージが強いですが、実際にコウモリはぶら下がった状態で休み、行動を始めるときは少し落ちながらその揚力を利用して飛び立ちます。
コウモリの体の表面の様子
コウモリ(アブラコウモリ)は黒褐色~暗灰褐色の体毛で覆われており、被膜(羽)は灰褐色や褐色をしています。
体長が小さいため、2㎝程度の隙間があれば侵入することができるほど小さいのも特徴です。
コウモリの行動パターン
コウモリは夜行性のため、夕暮れの薄暗くなるころに巣から出てきます。
活動期間も決まっていて、3月中旬から下旬ごろ~10月ごろまで活発に動きまわり、11月~3月は冬眠をします。
ただし、冬でも暖かい日には活動していることもあります。
コウモリの種類
コウモリは世界に約980種類存在していますが、日本においてよく見かけるコウモリはその中のたったの1種類です。
アブラコウモリという種になり、山奥などには生息せず人の住む家に住み着くことから「イエコウモリ」と呼ばれています。
普段目にしない種類のコウモリは山奥や洞窟、洞穴といった場所に住み着いているものがいくつかいますが、ほとんど出会うことはないでしょう。
日本に生息するコウモリ
日本に生息するコウモリは主に6種類存在します。
・アブラコウモリ
日本で唯一、人の住む家を住処にする種類となり、別名は「イエコウモリ」と呼ばれます。
体が小さく、2㎝程度の小さな隙間から家屋に浸入することが可能です。
夜行性で、蚊やハエ、蛾、カメムシなどをエサにするため益獣と言われることもあります。
・オガサワラオオコウモリ
小笠原諸島や南西諸島にしか生息しておらず、絶滅寸前のため国の天然記念物に指定されています。
日本に生息するコウモリの中では最も大きい種類になり、グアバやバナナなどの果実をやヤシ類の葉を食べます。
夜行性のため、昼間は木の上にぶら下がって休んでいます。
・カグラコウモリ
八重山諸島に生息する日本で唯一の熱帯系のコウモリになります。
1,000頭を超える集団を形成することもあります。
鼻の形が神楽のお面に似ていることから、カグラコウモリと名づけられました。
・ニホンウサギコウモリ
北海道や中国地方を除く本州で見られるほか、絶滅危惧種に指定されていましたが現在は外れています。
ウサギのような大きく長い耳が特徴のコウモリで、虫などを捕食する際にはハチドリのように浮いた状態(ホバリング)を保ちます。
他のコウモリと比べると飛ぶ速度が遅いのも特徴の一つです。
・キクガシラコウモリ
日本では、北海道から九州地方まで幅広く分布しており、鼻が菊の花に似ているのが特徴です。
昼間は洞穴やトンネルなどで休み、夜になるとエサを求め飛び回り、ゲンゴロウやコガネムシなど甲虫のほか、セミやアブなど比較的大きな昆虫を捕食します。
また、中国にいるキクガシラコウモリからSARS(重症急性呼吸器症候群)に似たコロナウイルスを検出された経緯があります。
・オヒキコウモリ
北海道から九州地方まで幅広く分布してはいますが、絶対数が少なくあまり研究も進んでいないため絶滅危惧種に指定されています。
日本に住むコウモリの中では一番大きい種類となり、飛行能力が高くその速度は時速160㎞になるとも言われています。
名前に「オヒキ」とある通り、尾を引きずって歩くことからそんな名前がつけられています。
コウモリを勝手に駆除しても大丈夫?
コウモリを許可無く捕獲、殺傷することは鳥獣保護管理法によって禁止されています。
もしも違反した場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます。
フン害や騒音などで駆除を行いたい場合は、市役所などで許可証を申請するか、害獣駆除専門の業者へ相談するのがいいでしょう。
家の周りでコウモリが飛んでいる場合は?
コウモリは蚊や蛾といった害虫を食べてくれるため、益獣として扱われることもあります。
しかし、放っておくと屋根裏などにいつの間にか侵入し大繁殖した結果、ふん尿による悪臭や鳴き声による騒音、コウモリに寄生しているノミやダニによる健康被害など発生する可能性があります。
この項では、そんなコウモリに対する対処法を紹介します。
家の周り飛んでいるコウモリの対処法
家の周りを飛んでいるコウモリに対する対処法として、コウモリ用の忌避剤もしくはネズミ用の忌避剤を使用することをおすすめします。
どちらも身近にあるホームセンターやドラッグストアなどで購入可能です。
家の中にも侵入してくるコウモリの対処法
家の中に侵入してきたコウモリには、決して素手で触れないようにしてください。
コウモリを許可無く捕獲や殺傷などを行うと「鳥獣保護管理法」に違反することになるほか、コウモリ自体にもノミやダニなどの寄生虫、エボラ出血熱やハンタウイルス感染症などを引き起こすウイルスを媒介している可能性があるためです。
もしも家の中に侵入してきた場合は窓を開け、出て行くのを待ちますが、忌避剤などを使うと追い出しやすくなります。
追い出した後は、コウモリがいた場所を除菌スプレーなどを使用し掃除をしておきましょう。
また、屋根裏などに住み着かれてしまった場合、忌避剤や燻煙剤を使用することでコウモリを追い出し、侵入経路を特定し掃除と除菌をした後、隙間を塞ぐことが重要になります。
自分でコウモリを撃退できない場合は?
コウモリを追い出すことや、その後の対策などを自分で行えない場合は専門の駆除業者に相談することをおすすめします。
コウモリは基本的に高所となる場所に住処を作り、侵入口も同じく高所になるため自分で対策をしようとすると思わぬケガを負う可能性が高いほか、感染症にかかるリスクもあります。
専門の駆除業者には、捕獲や駆除の許可証を持っているほか、豊富な経験と技術も持っているので安心して任せられます。
「コウモリ 飛び方」を調べている人がよく思う質問
まとめ:家の周りで飛んでいるうちに対処を!
この記事では、コウモリの飛び方や飛ぶ仕組み、コウモリの生態などを紹介しました。
蚊や蛾、カメムシなどの害虫を食べてくれるため益獣として迎えられる反面、家の屋根裏などを住処にされてしまうとふん尿による被害のほか、ダニやノミによる寄生虫被害が起こることもあります。
家にコウモリが住み着いているか心配な方、既に住み着かれてしまっている方は一度専門の駆除業者へ相談することを強くおすすめします。
また、侵入経路が判明している場合は夕暮れ時になるとコウモリが外へ飛び立つのでその間に忌避剤を使用する、隙間を塞ぐなどの対策を行いましょう。
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